前回は、uniSwfに使用する素材の外部化についてご紹介しました。
今回は、iOS10で新規に追加されたフレームワークについてご紹介したいと思います。
ご紹介するフレームワークは、「UserNotificationsフレームワーク」です。
このフレームワークを利用してローカル通知を行うアプリを作成してみたいと思います。
※ローカル通知とは、事前にアプリ内で設定した内容が、「アプリを起動していない」もしくは、
「アプリがバックグラウンド状態」でも、指定した時刻にアプリへ通知することができる機能のことです。
ただし、iOS9以前からローカル通知は存在していました。
「UIKitフレームワーク」の「UILocalNotification」というクラスを利用して実現していましたが、
今回、iOS10で「Deprecated（非推奨）」になり、そのクラスは利用できなくなりました。
厳密にいうと、「Deprecated」なので、すぐ利用できなくなるということはありません。
「UILocalNotification」クラスが削除されるまで、利用することができます。
ただし、Appleの都合のよいタイミングで、いきなり削除されるので、予期せぬタイミングで
利用することができなくなる可能性があります。
それでは、ここで「UserNotificationsフレームワーク」で追加された機能を簡単にご紹介しておきます。
・アプリが起動中である場合でも、画面上に通知できるようになった
※iOS9以前からある「UILocalNotification」というクラスでは、アプリを起動していない」
もしくは、「アプリがバックグラウンド状態」でのみ通知
・通知エリア内にカレンダーや地図を表示できるようになった
今後のことを考えて、「UIKitフレームワーク」の「UILocalNotification」クラスでローカル通知を
行っているアプリは、「UserNotificationsフレームワーク」に置き換える必要があります。
それでは実際に「UserNotificationsフレームワーク」を利用したサンプルアプリを作成してみましょう。
＜サンプルアプリの作成方法＞
【前提条件】
・開発環境は、「Xcode 8 beta版」であること
【手順１】
新規にプロジェクトを作成します。
【手順２】
画面を作成します。
今回は、「登録」ボタンタップで、ローカル通知を設定します。
【手順３】
「UserNotifications.framework」を追加します。
【手順４】
「AppDelegate.h/m」にローカル通知の初期設定を行います。
・AppDelegate.h
#import <UIKit/UIKit.h> #import <CoreData/CoreData.h> //ヘッダをインポートする #import <UserNotifications/UserNotifications.h> //UserNotificationsのDelegateを設定する @interface AppDelegate : UIResponder <UIApplicationDelegate, UNUserNotificationCenterDelegate> @property (strong, nonatomic) UIWindow *window; @property (readonly, strong) NSPersistentContainer *persistentContainer; - (void)saveContext; @end
・AppDelegate.m
- (BOOL)application:(UIApplication *)application didFinishLaunchingWithOptions:(NSDictionary *)launchOptions {
// Override point for customization after application launch.
//NotificationCenterのインスタンスを作成する
UNUserNotificationCenter *notificationCenter = [UNUserNotificationCenter currentNotificationCenter];
//Delegateを設定する
notificationCenter.delegate = self;
//通知のタイプを設定する
//今回は、音とアラートを設定
[notificationCenter requestAuthorizationWithOptions:UNAuthorizationOptionSound|UNAuthorizationOptionAlert
completionHandler:^(BOOL granted, NSError * _Nullable error) {
}];
return YES;
}
【手順５】
「ViewController.m」ファイルに「登録」ボタンタップ時の処理を追加します。
実際にローカル通知を設定します。
- (IBAction)buttonClick:(id)sender
{
NSMutableArray *identifiers = [NSMutableArray array];
__block NSArray *requestList = [NSArray array];
dispatch_semaphore_t semaphore = dispatch_semaphore_create(0);
/***********************************************/
//ローカル通知を設定する前に、残っている通知を削除する
//通知リクエストを取得する
[[UNUserNotificationCenter currentNotificationCenter] getPendingNotificationRequestsWithCompletionHandler:^(NSArray<UNNotificationRequest *> * _Nonnull requests) {
requestList = requests;
dispatch_semaphore_signal(semaphore);
}];
dispatch_semaphore_wait(semaphore, DISPATCH_TIME_FOREVER);
//通知を削除するために通知リクエストのidentifierを取得する
for (UNNotificationRequest *notification in requestList) {
//identifierを保持する
[identifiers addObject:notification.identifier];
}
if(0 != identifiers.count) { {
}
//通知リクエストを削除する
[[UNUserNotificationCenter currentNotificationCenter] removePendingNotificationRequestsWithIdentifiers:identifiers];
/***********************************************/
/***********************************************/
//通知する日付を作成する
//現在日付を取得する
NSDate *date = [NSDate date];
// 年月日をとりだす
NSDateComponents *components = [[NSCalendar currentCalendar] components:(NSCalendarUnitYear | NSCalendarUnitMonth | NSCalendarUnitDay |
NSCalendarUnitHour | NSCalendarUnitMinute | NSCalendarUnitSecond) fromDate:date];
//現在日付の１分後に設定する
components.minute += 1;
components.second = 0;
/***********************************************/
/***********************************************/
//通知を設定する
//通知する日付を指定する
UNCalendarNotificationTrigger *trigger = [UNCalendarNotificationTrigger triggerWithDateMatchingComponents:components repeats:NO];
//ローカル通知時に表示するメッセージを作成する
UNMutableNotificationContent *notification = [[UNMutableNotificationContent alloc] init];
notification.body = @"ローカル通知 サンプル";
notification.sound = [UNNotificationSound defaultSound];
/***********************************************/
/***********************************************/
//通知リクエストを作成する
UNNotificationRequest *request = [UNNotificationRequest requestWithIdentifier:@"1234567890" content:notification trigger:trigger];
//通知を設定する
[[UNUserNotificationCenter currentNotificationCenter] addNotificationRequest:request
withCompletionHandler:^(NSError * _Nullable error) {
}];
/***********************************************/
}
お疲れさまでした。
それでは、実際に作成したアプリを動かしてみましょう。
※iOS10の端末がないので、シミュレータで行いました。
【手順１】
アプリを起動し、通知を許可します。
【手順２】
「登録」ボタンをタップします。
【手順３】
アプリをバックグラウンドにし、指定した時刻まで待ちます。
【手順４】
指定した時間になると通知がきます。
ローカル通知を利用すると、スケジュール/アラーム通知や、アプリの起動を
促すメッセージを表示することができるので、とても便利です。
「UserNotificationsフレームワーク」にはまだ、いろいろな機能があるので、
次回以降、またご紹介させていただきたいと思います。
※「UserNotificationsUI」という フレームワークがありますので、
併せてご紹介していきたいと思います。
これで、「新しいフレームワークを利用してみよう！」は終了となります。
皆さんも、ぜひiOS10でローカル通知を利用してみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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